【第20話】鬼ヶ島で見つけた、新しい武器

吉備団子を持って海を渡り、私はついに四国へやってきました。

最初に訪れたのは、鬼ヶ島とも呼ばれる島がある香川県。

「さて……まずは相手を知ることから始めよう😐」

初日の夜。

うどんを食べながら、私は街の探索を始めました。

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🌸 鬼ヶ島だと思っていたら

駅の近くには、開けた海の景色。

街中には大きなアーケード商店街が広がっていました。

お買い物をしたり。

コーヒーを飲んだり。

お店の方と話してみたり。

すると、想像していた「鬼ヶ島」とはずいぶん違いました。

出会う人たちは、とても穏やか。

お店の方が親切にサービスしてくれたり、気さくに話しかけてくれたり。

私はあっという間に打ち解けてしまいました。

「……鬼、いないな😐」

むしろ、優しい人ばかりでした。

さて。

問題はここからです。

🌸 初日、お客様ゼロ

いよいよお店へ出勤しました。

ところが――

初日のお客様は、ゼロ。

この頃、景気にも少しずつ不穏な流れが見え始めていました。

さらに、いくつかの事情や偶然が重なり、私が選べるお店もほとんどありませんでした。

すぐに中国地方へ戻ることも難しい。

北海道へ帰るにもお金がかかる。

気軽に隣の県へ移動できる状況でもない。

それでも宿泊費などの固定費は、毎日かかり続けます。

「……これは、まずい。」

久しぶりに大きなピンチでした。

でも、不思議なことに。

本当に追い込まれたときほど、謎のやる気を発揮するのが当時の私でした。

「ここで負けてられない。」

この地域で。

この環境で。

どうにか自分でお客様を呼べるようになろう。

それしか道がありませんでした。

🌸 今まで、どうして稼げていたんだろう?

そこで私は、一度立ち止まって考えてみました。

これまで、うまくいったとき。

うまくいかなかったとき。

何が違ったんだろう。

過去を一つずつ思い返していきます。

すると、ある出来事を思い出しました。

風俗を始めて間もない頃のことです。

当時働いていたお店の店長さんから、

「ちょっと、君の写メ日記で実験してみてもいい?」

と言われたことがありました。

店長さんが写真を撮って、写メ日記の内容まで考えてくれた時期があったのです。

正直、その頃の私は、

「写メ日記って、とりあえず更新するもの。」

くらいに思っていました。

できれば、あまり労力をかけたくないとすら思っていました。

でも、よく考えてみると。

店長さんが手を入れていた頃は、写メ日記へのアクセスが大きく伸びていました。

予約もかなり先まで入るようになっていました。

「……。」

「写メ日記だ。」

そこで初めて、

自分からお客様に見つけてもらう方法を研究してみよう

と思ったのです。

🌸 「男心を教えてください😐」

とはいえ、マーケティングの知識なんてありません。

写真の知識もありません。

文章を書く技術もありません。

なので、できることから全部やってみました。

昔、店長さんが書いていた内容を思い出して真似してみる。

お客様に写真を見せて、

「どっちがいい?」

と聞いてみる。

さらには、

「男心を教えてください😐」

とお願いする。

写真集や雑誌を見ながら、

「どうしてこの角度なんだろう?」

「なぜ、このポーズなんだろう?🤔」

と考える。

人気のある女性の写メ日記を見て、

「ここ、いいな。」

と思ったところを試してみる。

思いつくことは、片っ端からやりました。

🌸 もちろん、そんなに簡単ではありませんでした

当然、失敗もたくさんしました。

「これは絶対いい。」

と思ったのに、ほとんど反応がない。

逆に、

「これくらいでいいかな。」

と思ったものが予想以上に見てもらえる。

良かれと思ってやったことが、逆効果になることもありました。

試して。

失敗して。

また考えて。

もう一度試す。

目に見える成果を感じられるようになるまで、3ヶ月以上かかりました。

🌸 待つ時間にも、できることを

その間、生活もあります。

最初の頃は待機時間を使って、仲良くなったうどん屋さんでアルバイトをさせてもらいました。

まかないをいただいたり、民泊を利用したりして、できるだけ生活費も抑えました。

大変な時期ではありました。

でも、不思議と苦しいことばかりではありませんでした。

うどん屋さんの人たち。

民泊のオーナーさん。

宿で出会った旅の途中の人。

働いていたお店の人。

知らない土地で、いろいろな人と出会いました。

大半の待機時間は、一人でした。

それでも、

思いつくことを全部やったら、

あとは少し待ってみる。

結果が出るまで、時間を信じてみる。

そんなことも、この頃少しずつ覚えていきました。

🌸 少しずつ、お客様が来るようになった

やがて、

ぽつり。

ぽつり。

少しずつ、お客様が訪れるようになりました。

そこで終わりにはしませんでした。

少し余裕ができると、今度は四国全体へ。

香川。

徳島。

愛媛。

高知。

それぞれ滞在する期間を決めて、地域ごとの反応を見ていきました。

出勤する日数をあえて限定してみたり。

写真を変えてみたり。

文章を変えてみたり。

地域によって、お客様が何に反応するのかも少しずつ違います。

場所を変えて。

試して。

また修正する。

そうやって、写メ日記の精度を少しずつ高めていきました。

🌸 鬼ヶ島で手に入れたもの

四国で過ごした時間は、一日一日がとても長く感じられました。

うまくいかない日もたくさんありました。

待っても、待っても、お客様が来ない日もありました。

それでも、この経験を通して私は一つの力を身につけました。

お店の集客力だけに頼らなくても。

初めて訪れた地域でも。

まだリピートしてくださるお客様が一人もいなくても。

自分で考え、自分からお客様に見つけてもらう力。

後に「夜の道しるべ」で女性たちの集客を考えるとき、その土台になる力です。

もちろん、この頃の私はそんな未来を知りません。

ただ、

「これなら、環境が変わっても少し戦えるかもしれない。」

そう思っていました。

吉備団子を持ってやってきた鬼ヶ島。

鬼には出会いませんでした。

代わりに、

優しい人たちとの出会いと、

これから先の自分を支えてくれる、

新しい武器を一つ手に入れたのでした。

神楽こまち

🌸 夜の道しるべの歩み

「頑張る女性が、自分を削らなくても生きていける場所を作りたい。」

そんな想いから始まった活動です。

夜の道しるべの歴史や、これから目指している未来についてはこちらからどうぞ。

神楽こまち
地元で夜のお仕事を始め、その後は全国各地でさまざまなお店や働き方を経験してきました。

現在は会社員として働きながら、「夜の道しるべ」を運営しています。

夜の仕事も、その先の人生も。
女性が自分に合った選択肢を安心して選べるよう、これまでの経験を活かして活動しています。
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