吉備団子を持って海を渡り、私はついに四国へやってきました。
最初に訪れたのは、鬼ヶ島とも呼ばれる島がある香川県。
「さて……まずは相手を知ることから始めよう😐」
初日の夜。
うどんを食べながら、私は街の探索を始めました。
🌸 鬼ヶ島だと思っていたら
駅の近くには、開けた海の景色。
街中には大きなアーケード商店街が広がっていました。
お買い物をしたり。
コーヒーを飲んだり。
お店の方と話してみたり。
すると、想像していた「鬼ヶ島」とはずいぶん違いました。
出会う人たちは、とても穏やか。
お店の方が親切にサービスしてくれたり、気さくに話しかけてくれたり。
私はあっという間に打ち解けてしまいました。
「……鬼、いないな😐」
むしろ、優しい人ばかりでした。
さて。
問題はここからです。
🌸 初日、お客様ゼロ
いよいよお店へ出勤しました。
ところが――
初日のお客様は、ゼロ。
この頃、景気にも少しずつ不穏な流れが見え始めていました。
さらに、いくつかの事情や偶然が重なり、私が選べるお店もほとんどありませんでした。
すぐに中国地方へ戻ることも難しい。
北海道へ帰るにもお金がかかる。
気軽に隣の県へ移動できる状況でもない。
それでも宿泊費などの固定費は、毎日かかり続けます。
「……これは、まずい。」
久しぶりに大きなピンチでした。
でも、不思議なことに。
本当に追い込まれたときほど、謎のやる気を発揮するのが当時の私でした。
「ここで負けてられない。」
この地域で。
この環境で。
どうにか自分でお客様を呼べるようになろう。
それしか道がありませんでした。
🌸 今まで、どうして稼げていたんだろう?
そこで私は、一度立ち止まって考えてみました。
これまで、うまくいったとき。
うまくいかなかったとき。
何が違ったんだろう。
過去を一つずつ思い返していきます。
すると、ある出来事を思い出しました。
風俗を始めて間もない頃のことです。
当時働いていたお店の店長さんから、
「ちょっと、君の写メ日記で実験してみてもいい?」
と言われたことがありました。
店長さんが写真を撮って、写メ日記の内容まで考えてくれた時期があったのです。
正直、その頃の私は、
「写メ日記って、とりあえず更新するもの。」
くらいに思っていました。
できれば、あまり労力をかけたくないとすら思っていました。
でも、よく考えてみると。
店長さんが手を入れていた頃は、写メ日記へのアクセスが大きく伸びていました。
予約もかなり先まで入るようになっていました。
「……。」
「写メ日記だ。」
そこで初めて、
自分からお客様に見つけてもらう方法を研究してみよう
と思ったのです。
🌸 「男心を教えてください😐」
とはいえ、マーケティングの知識なんてありません。
写真の知識もありません。
文章を書く技術もありません。
なので、できることから全部やってみました。
昔、店長さんが書いていた内容を思い出して真似してみる。
お客様に写真を見せて、
「どっちがいい?」
と聞いてみる。
さらには、
「男心を教えてください😐」
とお願いする。
写真集や雑誌を見ながら、
「どうしてこの角度なんだろう?」
「なぜ、このポーズなんだろう?🤔」
と考える。
人気のある女性の写メ日記を見て、
「ここ、いいな。」
と思ったところを試してみる。
思いつくことは、片っ端からやりました。
🌸 もちろん、そんなに簡単ではありませんでした
当然、失敗もたくさんしました。
「これは絶対いい。」
と思ったのに、ほとんど反応がない。
逆に、
「これくらいでいいかな。」
と思ったものが予想以上に見てもらえる。
良かれと思ってやったことが、逆効果になることもありました。
試して。
失敗して。
また考えて。
もう一度試す。
目に見える成果を感じられるようになるまで、3ヶ月以上かかりました。
🌸 待つ時間にも、できることを
その間、生活もあります。
最初の頃は待機時間を使って、仲良くなったうどん屋さんでアルバイトをさせてもらいました。
まかないをいただいたり、民泊を利用したりして、できるだけ生活費も抑えました。
大変な時期ではありました。
でも、不思議と苦しいことばかりではありませんでした。
うどん屋さんの人たち。
民泊のオーナーさん。
宿で出会った旅の途中の人。
働いていたお店の人。
知らない土地で、いろいろな人と出会いました。
大半の待機時間は、一人でした。
それでも、
思いつくことを全部やったら、
あとは少し待ってみる。
結果が出るまで、時間を信じてみる。
そんなことも、この頃少しずつ覚えていきました。
🌸 少しずつ、お客様が来るようになった
やがて、
ぽつり。
ぽつり。
少しずつ、お客様が訪れるようになりました。
そこで終わりにはしませんでした。
少し余裕ができると、今度は四国全体へ。
香川。
徳島。
愛媛。
高知。
それぞれ滞在する期間を決めて、地域ごとの反応を見ていきました。
出勤する日数をあえて限定してみたり。
写真を変えてみたり。
文章を変えてみたり。
地域によって、お客様が何に反応するのかも少しずつ違います。
場所を変えて。
試して。
また修正する。
そうやって、写メ日記の精度を少しずつ高めていきました。
🌸 鬼ヶ島で手に入れたもの
四国で過ごした時間は、一日一日がとても長く感じられました。
うまくいかない日もたくさんありました。
待っても、待っても、お客様が来ない日もありました。
それでも、この経験を通して私は一つの力を身につけました。
お店の集客力だけに頼らなくても。
初めて訪れた地域でも。
まだリピートしてくださるお客様が一人もいなくても。
自分で考え、自分からお客様に見つけてもらう力。
後に「夜の道しるべ」で女性たちの集客を考えるとき、その土台になる力です。
もちろん、この頃の私はそんな未来を知りません。
ただ、
「これなら、環境が変わっても少し戦えるかもしれない。」
そう思っていました。
吉備団子を持ってやってきた鬼ヶ島。
鬼には出会いませんでした。
代わりに、
優しい人たちとの出会いと、
これから先の自分を支えてくれる、
新しい武器を一つ手に入れたのでした。
神楽こまち

🌸 夜の道しるべの歩み
「頑張る女性が、自分を削らなくても生きていける場所を作りたい。」
そんな想いから始まった活動です。
夜の道しるべの歴史や、これから目指している未来についてはこちらからどうぞ。
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夜の道しるべの歩み
【第20話】鬼ヶ島で見つけた、新しい武器
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夜の道しるべの歩み
【第11話】私は、誰のために頑張りたいんだろう
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夜の道しるべの歩み
【第19話】吉備団子を持って、いざ鬼ヶ島へ
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夜の道しるべの歩み
【第17話】赤いリュックを背負って
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夜の道しるべの歩み
【第18話】次の行き先は、まさかのルーレット
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夜の道しるべの歩み
【第16話】肩の力を抜いたら、景色が変わった
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夜の道しるべの歩み
【第15話】一年間で、私に残ったもの
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夜の道しるべの歩み
【第14話】一人で進むことしか知らなかった
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夜の道しるべの歩み
【第13話】白か黒かしかなかった頃
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夜の道しるべの歩み
【第12話】突然笑えなくなった日
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夜の道しるべの歩み
【第10話】接客中に、涙が止まらなくなった日
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夜の道しるべの歩み
【第9話】当時の私が、本当にほしかったもの
