なんとなくの気持ちで飛び出した沖縄出張でしたが、そこで私は少しずつ元気を取り戻していきました。
暖かな日差し。
おおらかな人たち。
北海道とはまるで違う景色。
そして、そこで一つ気づいたことがあります。
私は、新しい場所や変化が大好きなんだ。
ということでした。
🌸 ずっと同じ場所にいるのが、少し苦手でした
新しい人との出会い。
初めて食べるもの。
知らなかった土地の歴史。
いつもとは違う景色。
そういうものに触れると、私は不思議なくらい元気になります。
反対に、ずっと同じ場所で、同じことを繰り返すのは少し苦手でした。
感情を置いて、淡々とルーティンをこなしていく。
もちろん、それができる人もいます。
でも私は、どうやらそういう人間ではありませんでした。
今まで何度も、
「もっと普通にできたらいいのに。」
「どうして私はこうなんだろう。」
と思いました。
周囲と少し違う自分を、直さなければいけないもののように感じていたこともあります。
🌸 「こうじゃなかったら、私じゃないもんね」
でも、沖縄で少し肩の力が抜けた頃。
過去の失敗や空回りを思い出しながら、ふと思いました。
「まあ……こうじゃなかったら、私じゃないもんね。」
ちょっとだけ、おかしくなりました。
失敗もする。
空回りもする。
感情にも振り回される。
打たれ強いわけでもない。
それでも、新しいものを見たい。
知らない世界へ行ってみたい。
途中の景色だって楽しみたい。
そんな自分を無理に別人へ変えるのではなく、
この私と、どうやって生きていこう。
初めて、そんなふうに考え始めました。
🌸 あなたにも、そんな部分はありませんか?
「なんだか自分だけ周りと違う気がする。」
「ここだけは、どうしても変えられない。」
そんな自分の気質に悩んだ経験がある人もいるかもしれません。
それは、ときには生きづらさになります。
でも同時に、それがあるからこそ、その人にしか見えない景色もあるのだと思います。
それがあるから、あなたはあなた。
そして、
それがあるから、私は私。
私は少しずつ、自分を周囲の型へ押し込めるのではなく、
自分に合った歩き方を探してみよう
と思うようになりました。
🌸 もう少しだけ、この仕事を続けてみよう
祖母を見送ったことで、私が風俗の仕事を始めた当初の大きな理由はなくなりました。
だから、このまま辞めるという選択肢もありました。
実際、私はこの仕事をずっと続けるつもりではありませんでした。
それでも当時の私は、
「もう少しだけ、お金に余裕があった方が安心かもしれない。」
と思っていました。
これから何をするのか。
どこで働くのか。
何を学ぶのか。
まだ何も決まっていません。
だからこそ、次の道へ進むための時間とお金を、もう少しだけ準備しておきたかったのです。
「あと半年くらい働いてみようかな。」
そのくらいの気持ちでした。
ただ、以前のように歯を食いしばって働くだけではなく、
せっかくなら、この半年を自分らしく楽しんでみたい。
そう思うようになっていました。
これまでずっと、
「目的のために我慢する。」
「最短距離で頑張る。」
そんな生き方ばかりしてきた私。
でも、少しくらい寄り道してもいい。
途中の景色を楽しんでもいい。
働きながら、まだ知らない世界を見てみてもいい。
そう考えたとき、私の中に一つのアイデアが浮かびました。
🌸 そして思いついたのが、「全国を回りながら働く」
そう考えたとき、真っ先に浮かんだのが、
全国を回りながら働くこと。
でした。
我ながら、なかなか極端な結論です。
でも当時の私には、とても自然でした。
新しい土地へ行く。
新しい人に会う。
知らないものを見る。
働きながら、自分の目で世の中を知っていく。
目的地だけを目指して一直線に進むのではなく、そこへ向かう途中の景色も全部見てみたい。
そんな生き方なら、自分らしく進める気がしたのです。
🌸 もうひとつ、旅に出ようと思った理由
その頃、私にはもう一つ大きな変化がありました。
祖母を見送ったことです。
長い間、私の生活には祖母の介護がありました。
人を介護するというのは、思っていた以上に時間も体力も使います。
振り返ると私は、自分の人生と祖母の人生。
二人分を一緒に生きていたような感覚でした。
だから、祖母がいなくなったあと。
突然、生活に大きな空白ができました。
守る人がいない。
帰るべき場所も、少し変わってしまった。
最初は、心にぽっかり穴が開いたようでした。
立ち直るまでには時間がかかりました。
でも少しずつ思えるようになりました。
この空いた場所に、今度は新しい景色を入れてみよう。
🌸 赤いリュックを背負って
旅に出るとき、私は一つのリュックを持っていきました。
祖母が、最後の誕生日にプレゼントしてくれた赤いリュックです。
そのリュックを背負って、
「いろんな土地のはがきと、素敵な写真を届けるね。」
そんな気持ちで北海道をあとにしました。
まだ、この先に何が待っているのかは分かりません。
どこへ行くのかも。
何を見つけるのかも。
この旅が、自分の人生をどう変えていくのかも。
何も知りませんでした。
ただ一つだけ。
私はようやく、
「誰かみたいに生きる」のではなく、「この私と生きていく」
その一歩を踏み出したのだと思います。
赤いリュックを背負って。
ここから、私の長い旅が始まりました。

神楽こまち
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🌸 夜の道しるべの歩み
「頑張る女性が、自分を削らなくても生きていける場所を作りたい。」
そんな想いから始まった活動です。
夜の道しるべの歴史や、これから目指している未来についてはこちらからどうぞ。
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夜の道しるべの歩み
【第11話】私は、誰のために頑張りたいんだろう
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夜の道しるべの歩み
【第17話】赤いリュックを背負って
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夜の道しるべの歩み
【第16話】肩の力を抜いたら、景色が変わった
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夜の道しるべの歩み
【第15話】一年間で、私に残ったもの
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夜の道しるべの歩み
【第14話】一人で進むことしか知らなかった
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夜の道しるべの歩み
【第13話】白か黒かしかなかった頃
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夜の道しるべの歩み
【第12話】突然笑えなくなった日
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夜の道しるべの歩み
【第10話】接客中に、涙が止まらなくなった日
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夜の道しるべの歩み
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夜の道しるべの歩み
【第8話】私が大事にしていたもの
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夜の道しるべの歩み
【第7話】常にまっすぐだったあの頃
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夜の道しるべの歩み
【第6話】男性は“巨人”に見えていた

