今でも忘れられない日があります。
接客中なのに、涙が止まらなくなってしまった日です。
「だめだ。」
「プロなのに。」
「接客中なのに泣いてはいけない。」
そう思えば思うほど、涙は止まりませんでした。
どうして泣いてしまったのか。
当時の私は、その理由が分かりませんでした。
その日のお客様は、とても力の強い触れ方をされる方でした。
私にとっては痛みを感じるほどで、少しずつ恐怖が大きくなっていきました。
当時は、お店から
「痛いとは言わないように。」
と言われていたこともあり、どう伝えればいいのか分かりませんでした。
空気を壊したくない。
お客様を怒らせたくない。
迷惑をかけたくない。
そんなことばかり考えているうちに、相手の行動は少しずつエスカレートし、最後には出血してしまいました。
その頃の私は、ずっと「頑張ること」ばかり考えていました。
生きるために働かなければいけない。
迷惑をかけてはいけない。
プロなんだから笑顔でいなければいけない。
そんな言葉で、自分の気持ちを押し込め続けていたのです。
でも、涙は止まりませんでした。
今振り返ると、あの涙は
ずっと心の奥に押し込めていた、本当の気持ちでした。
「傷つきたくない。」
「綺麗なままでいたかった」
「自分を守りたい。」
そんな気持ちを私は確かに強く持ち続けていました。
生きるために、この道を選ぶしかなかった。
それでも、本当は傷つきたくなかった。
知らない人に乱暴に触れられたくなかった。
怖い思いなんてしたくなかった。
あの日、止まらなかった涙は、
「頑張れ。」
という心ではなく、
「傷つきたくない。」
という、私自身の心からの叫びだったのだと思います。
当時の私はまだ、その叫びを受け止めることも、守ってあげることもできませんでした。
ただ、生きるために前へ進むしかない。
そんな一人の新人だったのです。
神楽こまち(Kagura Komachi )
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🌸 夜の道しるべの歩み
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夜の道しるべの歩み


接客中に、涙が止まらなくなった日
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