風俗嬢として働き始めて、一年。
決して、順風満帆な一年ではありませんでした。
戸惑って。
空回りして。
焦って。
何度も立ち止まりました。
それでも振り返ってみると、
この一年は、失ったものばかりではありませんでした。
私なりに、大切なものをいくつも掴んだ一年でもあったのです。
🌸 祖母と過ごした時間
まず、一番大きかったのは祖母との時間でした。
私は、祖母に残された時間がそれほど長くないことを知っていました。
だから、できるだけ一緒に過ごそうと思っていました。
祖母は昔から旅行が好きな人でした。
行ってみたい場所も、たくさんありました。
認知症の影響で、普段は会話がうまく噛み合わないことも増えていました。
それでも、新しい景色を見ると決まって笑うのです。
その笑顔を見るのが、私は好きでした。
車椅子でも楽しめる場所を探して。
移動しやすいルートを考えて。
いろんな景色を見て。
たくさん写真を撮りました。
後半になると、祖母はなぜかやたらとパーティをしたがるようになりました。
なので、
部屋の飾り付けを変えて。
着ぐるみを着て。
クラッカーを鳴らして。
歌って。
今思えば、なかなか賑やかな毎日でした。笑
でも、それも今では大切な思い出です。
🌸 一人で進めばいいと思っていた
もう一つ、この一年で大きく変わったことがあります。
それは、人とのつながりに対する考え方でした。
当時の私は、自分の人生は自分の力で切り開くものだと思っていました。
勉強して。
新しい仕事へ挑戦して。
気になる会社へ応募して。
ときには無給でも仕事を経験させてもらって。
自分で商売をしてみたり。
とにかく、
「自分が動けば、未来は変えられる。」
そう信じていました。
もちろん、その考え方に助けられた部分もあります。
でも、社会へ出たばかりの私はまだまだ未熟でした。
常識を知らずに失礼なことをしてしまったり。
自分のペースだけで突っ走ってしまったり。
今思えば、
「それはちょっと待とうか💧」
と言いたくなるような失敗も、たくさんしました。
🌸 チャンスを運んでくるのは、人だった
いろいろな人と一緒に仕事をする中で、少しずつ分かってきたことがあります。
実力を身につけることは、もちろん大切です。
できる仕事が増える。
収入が増える。
自分で選べることも増えていく。
でも、それだけでは届かない場所もありました。
新しい仕事を教えてくれるのも。
知らなかった世界を見せてくれるのも。
思いがけないチャンスを運んでくれるのも。
結局は、人でした。
会社員として働くにしても。
自分で事業をするにしても。
人とのつながりなしに、できることには限界があります。
それまで私は、
「誰にも頼らなくても、一人で進める。」
そんな気持ちが強かったのだと思います。
でも、この一年を通して少しずつ、
人と一緒に未来をつくる
という感覚を覚え始めました。
相変わらず不器用ではありましたが、
少しずつ、社会の中に自分の居場所やつながりを増やしていきました。
🌸 お金は、あまり残らなかった
では、この一年でどれくらいのお金が残ったのか。
正直、それほど多くはありませんでした。
自分自身が学ぶために使ったお金。
新しい経験をするために使ったお金。
そして、祖母との時間を大切にするために使ったお金。
稼いだお金の多くを、その一年の中で使いました。
でも、不思議と後悔はありませんでした。
手元のお金は減っても、
私の中には別のものが残っていました。
祖母との大切な思い出。
初めて知った世界。
失敗から学んだこと。
そして、人とつながる力。
目には見えないけれど、
その後の私を支えてくれるものが少しずつ増えていました。
🌸 次の一年へ
もちろん、まだまだ途中です。
この一年で選べなかったこともあります。
手に入らなかったものもあります。
それでも、自分自身は一年前とまったく同じではありませんでした。
当時の私は、新たに目標を見つけていました。
本格的に一年以上取り組んでみたい仕事。
そして、進学して学んでみたい大学。
そのためには、もう少しお金が必要でした。
「風俗の仕事も、もう少し続けることになりそうだな。」
そう思いながらも、
私はまた次の一年へ向けて歩き始めました。
現実が変わる速度は、とてもゆっくりです。
頑張っているのに、
昨日と何も変わっていないように見える日もあります。
それでも、
学んだこと。
出会った人。
積み重ねた経験。
自分の中に残ったものは、少しずつ増えていきます。
たとえ、何かを失って一度ゼロに戻ったように感じる日が来ても。
一度積み上げることができた人なら、また何度でも積み上げていける。
焦らず。
慎重に。
丁寧に。
私はまた、次の一年へ進んでいきました。
神楽こまち
🌸 夜の道しるべの歩み
「頑張る女性が、自分を削らなくても生きていける場所を作りたい。」
そんな想いから始まった活動です。
夜の道しるべの歴史や、これから目指している未来についてはこちらからどうぞ。
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夜の道しるべの歩み
【第11話】私は、誰のために頑張りたいんだろう
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夜の道しるべの歩み
【第15話】一年間で、私に残ったもの
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夜の道しるべの歩み
【第14話】一人で進むことしか知らなかった
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夜の道しるべの歩み
【第13話】白か黒かしかなかった頃
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夜の道しるべの歩み
【第12話】突然笑えなくなった日
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夜の道しるべの歩み
【第10話】接客中に、涙が止まらなくなった日
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夜の道しるべの歩み
【第9話】当時の私が、本当にほしかったもの
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夜の道しるべの歩み
【第8話】私が大事にしていたもの
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夜の道しるべの歩み
【第7話】常にまっすぐだったあの頃
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夜の道しるべの歩み
【第6話】男性は“巨人”に見えていた
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夜の道しるべの歩み
【第5話】初出勤の日「今日が人生最後かもしれない」
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夜の道しるべの歩み
【第4話】私にも、欲しい未来があった

