実は、風俗の仕事を始めた頃。
私はこの仕事を、3ヶ月くらいで辞めるつもりでした。
必要なお金を貯めて。
今の状況を変えて。
そこから次の道へ進む。
当時の私の頭の中では、未来への道は一本のまっすぐな線でした。
「頑張れば、前へ進める。」
「もっと頑張れば、もっと遠くまで行ける。」
そんなふうに思っていたのです。
でも現実は、そんなに綺麗には進みませんでした。
🌸 一人で進むことは、得意でした
当時の私は、世の中の流れや周囲のペースをあまり見ていませんでした。
自分で考えて。
自分で決めて。
自分のペースで進む。
ある意味では、それが私の強みでもありました。
風俗の仕事は、一人でお客様と向き合わなければならない場面も多く、孤独になりやすい仕事です。
そんな環境では、
「周囲がどうであっても、自分は自分。」
と考えられる性格に助けられたこともありました。
周りに流されない。
納得できないことには、自分なりの境界線を持つ。
自分で考えて、生きる道を探す。
そのまっすぐさが、自分を守ってくれたことも確かです。
🌸 でも、なぜか同じ場所で止まってしまう
一方で、困ったことも起こりました。
まっすぐ進もうとすればするほど、いろいろなものにぶつかるのです。
頑張っている。
努力もしている。
それなのに、なぜか空回りする。
3ヶ月で辞めるつもりだった風俗の仕事も、予定を過ぎて続けていました。
現実は、思っていたほど簡単には変わりません。
私は焦りました。
そして頑固な私は、
「まだ努力が足りないんだ。」
と思いました。
だから、さらに力を入れる。
さらに頑張る。
さらにまっすぐ進もうとする。
……そして、またぶつかる。
そんなことを繰り返していました。
仕事も。
経験も。
社会人としての実績も。
一生懸命積み上げているはずなのに、
あるところまで行くと、ポキッと折れてしまう。
そしてまた、ゼロからやり直す。
「何がいけないんだろう。」
「努力の仕方が間違っているのかな。」
考えても、なかなか答えが見つかりませんでした。
今思えば私は、
とても真面目に、そして頑なに、空回りしていたのだと思います。
🌸 「今回もダメなのかな」
そんな私に、少しだけ変わるきっかけが訪れます。
それは、昼の仕事での出来事でした。
面接や交渉を重ねて、ようやく入ることができた会社。
せっかくいただいた機会だから、きちんと貢献したい。
新しい仕事もできるようになりたい。
自分で勉強して、成果も出そうとしました。
最初は順調でした。
少しずつできることも増えて、成果も伸びていきます。
でも、またです。
あるところから先へ進めなくなりました。
頑張っているはずなのに、仕事の幅が広がらない。
新しいチャンスにもつながらない。
「……また今回もダメなのかな。」
あれだけ頑張ったのに。
またゼロからやり直すのかな。
力が抜けてしまいました。
涙が出そうになるのをこらえて上を向き、
「ああ、今日はアレルギーでちょっと目がしみるなぁ。」
と、何事もないような顔をしていました。
そして、
「また次の場所を探そうかな。」
辞表を出すことまで考え始めていました。
🌸 「あともう一歩だね」
そんなときでした。
普段から周囲をよく見ていたリーダーの方が、私の様子に気づいたのか、声をかけてくれました。
「〇〇さん、このプロジェクトやらない?」
チームで取り組む、新しいプロジェクトへの誘いでした。
そして、
「〇〇さんは、必要な土台はちゃんと揃ってると思う。」
「でも、あともう一歩だね。」
「このプロジェクトをやったら、その“もう一歩”に気づけるんじゃないかな😊」
そんなことを言ってくれました。
正直、戸惑いました。
参加してみると、周りにいるのは自分よりずっと年上の、経験豊富な人たちばかり。
当時の私から見ると、
「こっちもラスボス。」
「あっちもラスボス。」
「……ラスボスしかいない😐」
そんな状態でした。
でも、
「もう、この際どうにでもなれ。」
そう思って、その中へ飛び込んでみることにしました。
🌸 足りなかったのは、努力ではなかった
そこで仕事をするうちに、少しずつリーダーの言葉の意味が分かるようになりました。
私に足りなかったのは、
もっと頑張ることでも。
もっと勉強することでも。
もっと一人で強くなることでもありませんでした。
周囲を見て、人と一緒に進むこと。
それを私は、ほとんど知りませんでした。
それまでの私は、完全に個人プレーでした。
人生は自分の実力で切り開くもの。
仕事は自分の努力で広げるもの。
誰にも頼らず進めることが、強さだと思っていました。
でも、実際の社会は違いました。
自分一人のペースだけでは動きません。
相手にも考えがあります。
組織にも流れがあります。
世の中にもタイミングがあります。
それらを見ながら、
少し待ったり。
少し頼ったり。
相手に合わせたり。
自分の意見を伝えたり。
ときには誰かと一緒に進んでいく。
私は、そういう柔らかい進み方をほとんど知らなかったのです。
🌸 今いる場所にも、誰かの「Yes」があった
そして、もう一つ気づいたことがあります。
そもそも私は、本当に一人でここまで来たのだろうか。
仕事を始められたのも、
誰かが、
「この人と働いてみよう。」
とYesを出してくれたから。
知らなかったことを覚えられたのも、教えてくれた人がいたから。
新しい仕事を知ったのも、誰かとの出会いがあったから。
気づいていなかっただけで、
私は最初から、たくさんの人とのつながりの中で生きていました。
仕事も。
チャンスも。
知らなかった世界も。
その多くを運んできてくれたのは、人でした。
🌸 一人で進むことも、人と歩くことも
だからといって、
「自分の軸を捨てて、周りに合わせればいい。」
ということではありません。
一人で考える力も。
周囲に流されないことも。
自分の境界線を守ることも。
今でも大切だと思っています。
ただ、
自分の足で立ちながら、誰かと一緒に歩くこともできる。
そのことを私は、少しずつ知り始めました。
頼ること。
相談すること。
相手のペースを見ること。
人との関係を育てること。
どれも当時の私には難しく、相変わらず失敗ばかりでした。
それでも、
一人でまっすぐ進むことしか知らなかった頃より、
私の世界は少しずつ広がっていきました。
もし、
「自分のいる世界が、なぜかずっと閉じている気がする。」
「状況を変えたくて頑張っているのに、いつも同じところで止まってしまう。」
そんなふうに感じることがあるなら。
もしかすると、必要なのは「もっと頑張ること」だけではないのかもしれません。
自分の軸を持ったまま、
ほんの少し周りを見てみる。
誰かを頼ってみる。
一緒に歩いてみる。
私にとっては、それが、
一人で生きる世界から、人と生きる世界へ踏み出した最初の一歩でした。
🌸 夜の道しるべの歩み
「頑張る女性が、自分を削らなくても生きていける場所を作りたい。」
そんな想いから始まった活動です。
夜の道しるべの歴史や、これから目指している未来についてはこちらからどうぞ。
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夜の道しるべの歩み
【第11話】私は、誰のために頑張りたいんだろう
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夜の道しるべの歩み
【第14話】一人で進むことしか知らなかった
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夜の道しるべの歩み
【第13話】白か黒かしかなかった頃
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夜の道しるべの歩み
【第12話】突然笑えなくなった日
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夜の道しるべの歩み
【第10話】接客中に、涙が止まらなくなった日
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夜の道しるべの歩み
【第9話】当時の私が、本当にほしかったもの
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夜の道しるべの歩み
【第8話】私が大事にしていたもの
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夜の道しるべの歩み
【第7話】常にまっすぐだったあの頃
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夜の道しるべの歩み
【第6話】男性は“巨人”に見えていた
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夜の道しるべの歩み
【第5話】初出勤の日「今日が人生最後かもしれない」
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夜の道しるべの歩み
【第4話】私にも、欲しい未来があった
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夜の道しるべの歩み
【第3話】もう一度、未来を選んだ日

