常にまっすぐだったあの頃

今振り返ると、自分で言うのも少し照れますが、当時の私はとても真面目で、不器用な性格だったと思います。

接客のテクニックも知りませんでした。

コミュニケーションも得意ではありませんでした。

自分の身を守る方法も分かりませんでした。

写メ日記の書き方も、人気の出し方も、何ひとつ知りませんでした。

だから私には、武器と呼べるものがありませんでした。

唯一あったのは、「目の前の人を大切にしたい」という気持ちだけ。

「お金をいただいている以上、この時間だけは相手にとって楽しい時間にしたい。」

そんな思いだけを胸に、一人ひとりのお客様と向き合っていました。


当時の私は、いつも全力でした。

というより、全力でしか接客ができませんでした。

お客様の言葉に傷つくこともありました。

本当は悪意や打算に気付いていたこともあります。

それでも接客中だけは、その感情を横に置いていました。

プロとして、その時間を少しでも心地よいものにしたい。

楽しい雰囲気をつくりたい。

笑顔で帰っていただきたい。

そんなことばかり考えていた気がします。


今思えば、その一生懸命さの裏には、いつも警戒心がありました。

怖いと思う相手ほど丁寧に接する。

乱暴な人かもしれないと思うほど笑顔を増やす。

愛嬌を見せることは、お客様を喜ばせるためでもあり、自分自身を守るためでもありました。

今ならもっと違う向き合い方もあったと思います。

でも、当時の私には、それしか方法を知りませんでした。


周りから見れば、とても不器用だったと思います。

真面目すぎて誤解されたこともありました。

近寄りがたいと思われたこともあったかもしれません。

それでも私は、誰かのせいにすることなく、自分にできることをひとつずつ積み重ねていました。

今の私なら、あの頃の自分にこう声をかけます。

「よく頑張ったね。」

「そんなに一人で背負わなくても大丈夫だよ。」


あの一年間で身につけたのは、接客のテクニックではありません。

人と真剣に向き合う姿勢でした。

それは今でも、私の土台になっています。

夜の道しるべで女性のお話を聞くときも、撮影で一緒に悩むときも、まず最初に考えるのは、「この人の力になりたい」ということです。

何も持っていなかった新人時代。

だからこそ、誠実に向き合うことだけは、誰にも負けたくありませんでした。

あの頃のまっすぐさは、今の私を支えてくれている、一番大切な原点なのだと思います。

神楽こまち(Kagura Komachi )

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