初めてお店で働いた日。
正直、そのときのことはところどころしか覚えていません。
頭の中は真っ白。
ものすごく緊張して、それでも必死に頑張っていたのだと思います。
身体もすでに限界に近づいていた頃。
本当に、残っていた力を振り絞った一日でした。
それでも私は、手術の日をなんとか一日だけ延ばしてもらい、もう一度出勤しました。
そのお金と、それまでの貯金を合わせて、
ようやく治療費を支払うことができました。
🌸 立ち止まって、初めて考えたこと
その後、入院生活が始まりました。
久しぶりにできた、何もしない時間。
そこで私は、これからの人生について考えました。
これまでは昼のアルバイトで、とにかく一生懸命働いてきました。
でも、どれだけ真面目に頑張っても、
時間はなくなる。
体力もなくなる。
そして、生活はなかなか変わらない。
「頑張ることが悪いんじゃない。」
「もしかしたら、頑張り方を変えなきゃいけないんじゃないか。」
そう考えるようになりました。
今までと同じ働き方を続けていった先に、私が望んでいる未来は見えませんでした。
🌸 だったら、違う道を歩いてみよう
一方で、風俗の仕事では、これまでのアルバイトより短い時間で大きな収入を得られる可能性がありました。
もちろん、簡単な仕事ではありません。
リスクもあります。
怖さもあります。
この先どうなるのかも分かりません。
それでも私は考えました。
この働き方で時間をつくって、
その時間で勉強しよう。
新しいことを学ぼう。
自分にできることを増やそう。
今の私には、昼の世界で選べる場所がまだ少ない。
でも、
今よりもっと成長した自分で戻ったら、見える景色は変わるかもしれない。
だったら、その可能性に賭けてみたい。
目の前にあるのは、もしかしたら崩れかかった橋かもしれません。
でも、その向こう側に、
私と祖母が今より幸せに暮らしている未来が1%でもあるのなら。
その1%に、自分の人生を賭けてみよう。
そう決めました。
私はそこで、それまで歩いてきたレールから一度外れることを選びました。
🌸 少しずつ、生活が変わっていった
働き方を変えると、少しずつ生活にも余裕が生まれました。
祖母に、今までより栄養のある食事を作れるようになりました。
貯金も少しずつ増えて、毎月の支払いに怯えることも減りました。
祖母が行ってみたかった場所へ、一緒に出かけることもできました。
身体を休ませる時間も取れるようになりました。
そして不思議なことに、
余裕が生まれるにつれて、
今まで忘れていた自分自身の気持ちも、少しずつ戻ってきました。
🌸 ああ、私ってこんなに欲しかったんだ
本当は、もっと勉強したかった。
美味しいものも食べたかった。
可愛い服も着てみたかった。
友達と遊びに行きたかった。
やってみたいことも。
行ってみたい場所も。
知りたいことも。
本当は、たくさんありました。
でも、それまでの私は、
「私は平気。」
「そんなに欲しいものなんてない。」
そう思っていました。
違ったんです。
欲しくなかったんじゃない。
欲しいと思う余裕すら、なかったのだと思います。
「ああ。」
「私って、こんなに欲しかったんだ。」
そのことに気づいたとき、
少しだけ、自分が人間に戻ったような気がしました。
🌸 私にも、幸せになりたい気持ちがあった
一度決まってしまった生き方を変えることは、簡単ではありません。
努力だけではどうにもならないこともあります。
理不尽なこともあります。
これから先、この世界でもたくさんの壁にぶつかることになります。
それでも当時の私は、
「誰かのせいにして終わりたくない。」
と思っていました。
今、自分が持っているものを全部使ってでも、
変えられる未来があるのなら、そこへ行ってみたい。
泥臭くてもいい。
遠回りでもいい。
失敗してもいい。
それでも、自分の人生を諦めたくない。
高校生の頃からずっと我慢してきた私は、
ここでようやく、
「私も幸せになりたい。」
という、自分自身の願いを認められるようになったのだと思います。
未来を信じて。
小さな希望を胸に。
私は、自分で選んだ新しい道を歩き始めました。
こまち

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🌸 夜の道しるべの歩み
「頑張る女性が、自分を削らなくても生きていける場所を作りたい。」
そんな想いから始まった活動です。
夜の道しるべの歴史や、これから目指している未来についてはこちらからどうぞ。
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夜の道しるべの歩み
【第11話】私は、誰のために頑張りたいんだろう
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夜の道しるべの歩み
【第16話】肩の力を抜いたら、景色が変わった
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【第15話】一年間で、私に残ったもの
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【第14話】一人で進むことしか知らなかった
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【第13話】白か黒かしかなかった頃
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【第12話】突然笑えなくなった日
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【第10話】接客中に、涙が止まらなくなった日
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【第6話】男性は“巨人”に見えていた
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【第5話】初出勤の日「今日が人生最後かもしれない」

