この業界に入った理由は、ひとつじゃありません。
でも、あのときの私にとっては、
「選んだ」というよりも、
「それしかなかった」という感覚に近かったと思います。
当時の私は、祖母の介護をしながら
ひとりで家計を支えていました。
高校生の頃から毎日のようにアルバイトをして、
生活を維持することで精一杯で、
進学する余裕もなく、
そのままフリーターとして働き続けていました。
時給は800円台。
なんのスキルも経歴もない状態で選べる仕事は限られていて、
長時間働くことでしか、生活を維持することができませんでした。
休憩時間すら、私にとっては負担でした。
お金が入らないのに、
その場に拘束される時間。
それがあるだけで、生活が苦しくなる。
だから私は、
休憩を取らなくていい環境を選んだり、
複数のバイトを掛け持ちしたりして、
とにかく働き続けていました。
それでも、
どれだけ頑張っても、
お金はすべて生活費や介護費用に消えていく。
未来のために何かを積み上げる余裕なんて、
どこにもありませんでした。
気づけば、
働くために生きているのか、
生きるために働いているのかも分からなくなっていました。
そしてあるとき、
体が動かなくなりました。
そのまま入院。
貯金は減り続けて、
支払いも危うい状態。
動かなきゃいけないのに、
もうどう考えても間に合わない。
そのとき初めて、
「このままじゃ終わる」
と思いました。
今の延長線上に、
自分の未来が見えなかったんです。
だから私は、
それまでのレールから外れることを選びました。
正確に言うと、
外れるしかなかった、という方が近いかもしれません。
手術前のある日、
病院を抜け出し
ヒッチハイクで
そのまま働く場所を探しに向かいました。
このまま何もしなければ、
私も祖母も守れない。
それだけでした。
この業界は、
決して綺麗な場所ではないと思います。
でも当時の私にとっては、
「今の生活を変えられる可能性がある場所」
でした。
時間も、選択肢も、
ほんの少しでも取り戻せるかもしれない。
そう思って、
私はこの世界に入りました。
あのときの私には、
それが唯一の選択でした
こまち

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