【第1話】希望に満ちた瞳

この業界に入る前の私は、

これといった特技や、目立った個性があるわけでもない、ごく普通の人でした。

学生の頃は普通に勉強をして、

放課後は友達とカラオケに行って。

まさかの生徒会長という、結構真面目なポジションにもいました。笑


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🌸 私とは交わることのない世界

当時の私にとって、夜の世界で働く女性は、

蝶々みたいに凛としていて、かっこいい。

そんなイメージでした。

でも、

「私には交わることのない世界だなぁ。」

「私には、そんなタフな生き方はできないだろうなぁ。」

そう思っていました。

まさか約一年後、自分がその世界へ入ることになるなんて、この頃は想像もしていませんでした。


🌸 未来よりも、まずは今日を生きる

少しだけ普通と違っていたことがあるとすれば、高校3年生頃から祖母の介護を始めたことでした。

ちょうど同じ頃、両親も亡くなり、

家に残されたのは、祖母と私の二人。

私がまだ学生だったこともあり、親戚の方が生活を一部支えてくれていました。

それでも、

「大人たちが気を遣ってくれているだけで、本当は経済的にかなり厳しいんじゃないか。」

そんな空気を、子どもなりに敏感に感じ取っていました。

まずは生きること。

祖母の命を支えること。

それが最優先でした。

部活をやめて、友達と遊ぶ時間も減らし、アルバイトを頑張るようになりました。


学校では、進路や未来の話が飛び交います。

でも、当時の私が考えていたのは、

「これから何になりたい?」

ではなく、

「まず、あと数ヶ月を生きるためのお金をどう確保する?」

ということでした。

この頃、初めて知ったことがあります。

未来について悩めることは、ある意味では一つの幸せなのだということ。

人は本当に余裕がなくなると、遠い未来よりも、まず今日や明日のことを考えるようになります。

だから私にとっては、

進路よりもアルバイト。

勉強よりもアルバイト。

先生からの評価よりもアルバイト。

進学も、一旦諦めることにしました。

地元で就職することも、介護との両立を考えると難しそうでした。

それでも、

「大丈夫。」

「本当に大丈夫なタイミングが来たら、自分の力でちゃんと大学へ行くもん😌」

「今は少し先延ばしになっただけ。残された時間でコツコツ積み上げれば大丈夫。」

そう思っていました。


🌸 1年間で、できるだけ働こう

そんなとき、親戚から、

「あなたが20歳になるまでのあと一年くらいは、祖母の介護をこちらでするよ。」

と言ってもらいました。

だったら、この一年間でできるだけ働こう。

そう考えました。

時給は800円台。

でも、働く時間を増やせばいい。

夜勤なら時給も少し上がる。

多少無茶でも、

「短期集中で決着をつけよう。」

当時の私は、そう決意しました。

コールセンターとコンビニを掛け持ちして、長い日には一日のほとんどを仕事に使っていました。

今なら、

「いやいや、ちょっと待って。」

と言いたくなります。

でも当時は、本気でした。


🌸 卒業式のあとも、アルバイトへ

周りには、進学する人がたくさんいました。

これから進む場所が変われば、見える世界も変わっていきます。

今は友達でも、この先何年も同じ関係でいられるかは分からない。

高校の卒業式では、友人たちとの最後の時間を噛み締めました。

そして卒業式が終わると、

私はそのままコンビニのアルバイトへ向かいました。


「19歳で、そんなに働いている人はいないよ。」

アルバイト先の方や近所の方など、心配してくれていた人は確かにいたのだと思います。

でも当時の私は、その心配に気づく余裕すらありませんでした。

世間の流れをよそに、

自分なりの未来を信じて、

自分なりの道を見つめていました。

目は、きっとキラキラ輝いていたと思います。


🌸 危ういくらい、未来を信じていた

若さゆえのエネルギーだったのでしょうか。

世間知らずだったからこその強さだったのでしょうか。

周りから見れば、きっと危うかったと思います。

それでも当時の私は、

「私なら大丈夫。」

と、本気で未来を信じていました。

そして、自分なりの大人の人生を歩き始めました。


その約一年後。

「私とは交わることのない世界」

そう思っていた夜の世界へ、私は入ることになります。

それは、もう少し先のお話。

ただ、一つだけ覚えていてほしいことがあります。

夜の仕事を始めたときでさえ、

私の心から希望がなくなっていたわけではありません。

未来を諦めたから、その世界へ行ったわけでもありません。

相変わらず、

不器用で。

まっすぐで。

ちょっと大胆で。

そして未来だけは信じていた。

これは、そんな一人の普通の人のお話です。

こまち

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