この業界に入る前の私は、
これといった特技や、目立った個性があるわけでもない、ごく普通の人でした。
学生の頃は普通に勉強をして、
放課後は友達とカラオケに行って。
まさかの生徒会長という、結構真面目なポジションにもいました。笑
🌸 私とは交わることのない世界
当時の私にとって、夜の世界で働く女性は、
蝶々みたいに凛としていて、かっこいい。
そんなイメージでした。
でも、
「私には交わることのない世界だなぁ。」
「私には、そんなタフな生き方はできないだろうなぁ。」
そう思っていました。
まさか約一年後、自分がその世界へ入ることになるなんて、この頃は想像もしていませんでした。
🌸 未来よりも、まずは今日を生きる
少しだけ普通と違っていたことがあるとすれば、高校3年生頃から祖母の介護を始めたことでした。
ちょうど同じ頃、両親も亡くなり、
家に残されたのは、祖母と私の二人。
私がまだ学生だったこともあり、親戚の方が生活を一部支えてくれていました。
それでも、
「大人たちが気を遣ってくれているだけで、本当は経済的にかなり厳しいんじゃないか。」
そんな空気を、子どもなりに敏感に感じ取っていました。
まずは生きること。
祖母の命を支えること。
それが最優先でした。
部活をやめて、友達と遊ぶ時間も減らし、アルバイトを頑張るようになりました。
学校では、進路や未来の話が飛び交います。
でも、当時の私が考えていたのは、
「これから何になりたい?」
ではなく、
「まず、あと数ヶ月を生きるためのお金をどう確保する?」
ということでした。
この頃、初めて知ったことがあります。
未来について悩めることは、ある意味では一つの幸せなのだということ。
人は本当に余裕がなくなると、遠い未来よりも、まず今日や明日のことを考えるようになります。
だから私にとっては、
進路よりもアルバイト。
勉強よりもアルバイト。
先生からの評価よりもアルバイト。
進学も、一旦諦めることにしました。
地元で就職することも、介護との両立を考えると難しそうでした。
それでも、
「大丈夫。」
「本当に大丈夫なタイミングが来たら、自分の力でちゃんと大学へ行くもん😌」
「今は少し先延ばしになっただけ。残された時間でコツコツ積み上げれば大丈夫。」
そう思っていました。
🌸 1年間で、できるだけ働こう
そんなとき、親戚から、
「あなたが20歳になるまでのあと一年くらいは、祖母の介護をこちらでするよ。」
と言ってもらいました。
だったら、この一年間でできるだけ働こう。
そう考えました。
時給は800円台。
でも、働く時間を増やせばいい。
夜勤なら時給も少し上がる。
多少無茶でも、
「短期集中で決着をつけよう。」
当時の私は、そう決意しました。
コールセンターとコンビニを掛け持ちして、長い日には一日のほとんどを仕事に使っていました。
今なら、
「いやいや、ちょっと待って。」
と言いたくなります。
でも当時は、本気でした。
🌸 卒業式のあとも、アルバイトへ
周りには、進学する人がたくさんいました。
これから進む場所が変われば、見える世界も変わっていきます。
今は友達でも、この先何年も同じ関係でいられるかは分からない。
高校の卒業式では、友人たちとの最後の時間を噛み締めました。
そして卒業式が終わると、
私はそのままコンビニのアルバイトへ向かいました。
「19歳で、そんなに働いている人はいないよ。」
アルバイト先の方や近所の方など、心配してくれていた人は確かにいたのだと思います。
でも当時の私は、その心配に気づく余裕すらありませんでした。
世間の流れをよそに、
自分なりの未来を信じて、
自分なりの道を見つめていました。
目は、きっとキラキラ輝いていたと思います。
🌸 危ういくらい、未来を信じていた
若さゆえのエネルギーだったのでしょうか。
世間知らずだったからこその強さだったのでしょうか。
周りから見れば、きっと危うかったと思います。
それでも当時の私は、
「私なら大丈夫。」
と、本気で未来を信じていました。
そして、自分なりの大人の人生を歩き始めました。
その約一年後。
「私とは交わることのない世界」
そう思っていた夜の世界へ、私は入ることになります。
それは、もう少し先のお話。
ただ、一つだけ覚えていてほしいことがあります。
夜の仕事を始めたときでさえ、
私の心から希望がなくなっていたわけではありません。
未来を諦めたから、その世界へ行ったわけでもありません。
相変わらず、
不器用で。
まっすぐで。
ちょっと大胆で。
そして未来だけは信じていた。
これは、そんな一人の普通の人のお話です。
こまち

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🌸 夜の道しるべの歩み
「頑張る女性が、自分を削らなくても生きていける場所を作りたい。」
そんな想いから始まった活動です。
夜の道しるべの歴史や、これから目指している未来についてはこちらからどうぞ。
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夜の道しるべの歩み
【第11話】私は、誰のために頑張りたいんだろう
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夜の道しるべの歩み
【第16話】肩の力を抜いたら、景色が変わった
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【第15話】一年間で、私に残ったもの
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【第14話】一人で進むことしか知らなかった
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【第13話】白か黒かしかなかった頃
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【第12話】突然笑えなくなった日
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【第10話】接客中に、涙が止まらなくなった日
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【第9話】当時の私が、本当にほしかったもの
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【第8話】私が大事にしていたもの
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【第7話】常にまっすぐだったあの頃
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【第6話】男性は“巨人”に見えていた
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【第5話】初出勤の日「今日が人生最後かもしれない」

